計算基礎科学コンソーシアム

Consortium for Computational Fundamental Science

■ 「計算基礎科学コンソーシアム」設立趣意

現在、科学の進展は大きな転回点を迎えています。20世紀を通じて、そして現在も続く科学技術の急速な進歩は、基盤となる基礎科学の発展に支えられてきました。その核となる物理学では、原子から原子核そしてさらに小さなスケールへと物質構造の階層をたどることで、物質を構成する素粒子とその基本法則が明らかになり、宇宙の誕生から物質の創生、銀河や星の形成にいたる宇宙の歴史までもが描き出されようとしています。そして現在、研究の最前線は、超ミクロな素粒子・原子核の反応から宇宙全体の進化にいたるあらゆる現象を、包括的かつ精密に理解しようとする新しいチャレンジに直面しています。

計算科学は、ますます複雑化する基礎科学のグランドチャレンジを解決する上で、決定的な役割を果たすと期待されています。そのパワーの源となる計算能力は科学技術の絶え間ない発展によって向上し続けていますが、特にわが国の計算基礎科学の分野は、量子色力学の専用計算機として開発されたPACSシリーズや重力多体問題の専用計算機GRAPEシリーズに代表されるように、最先端のスーパーコンピュータ開発の牽引役を果たしてきました。現在、理化学研究所で開発されている次世代スーパーコンピュータの登場によって、計算科学の進展はさらに加速すると予想されます。これまでの科学の進歩の歴史が示してきたように、グランドチャレンジの解決はもちろん、それによって培われる問題解決の手法は、さまざまな分野でのイノベーションを促進し科学技術全体の発展に還元されていきます。

このような状況のなか、私たちは、特にシミュレーションにかかわる基礎科学の研究者が分野を超えて結集し、技術や情報を共有する環境を整えることで基礎科学を大きく発展させるために、「計算基礎科学コンソーシアム」を設立することを提案します。異分野融合によって新たな研究を生み出す役割や、科学技術の他分野や産業界などとの連携を促進するための窓口としての役割、研究環境を構築する上での様々な提案をしていく役割、人材育成や循環を促進する役割など、他分野や社会に貢献していくことも「計算基礎科学コンソーシアム」の重要な役割であると考えています。もちろん、基礎科学の研究には一般社会からのサポートも欠かせません。人類の遺産としての基礎科学の成果を広く社会にアピールしていくことも重要な役割の一つです。

計算基礎科学コンソーシアムの活動

計算基礎科学コンソーシアムのメンバー

このような組織の必要性は、主に素粒子・原子核・天文宇宙分野の研究者の議論のなかから生まれてきた関係上、発起人一同はこれらの分野に属していますが、上記のような役割の重要性はより広い基礎科学全体に共通するものだと考えています。こうした活動を通じて、より広い分野や社会との協力関係を構築することができれば、これに優る喜びはありません。以上のような趣旨に賛同して計算基礎科学の発展にご協力いただける個人、法人の皆様の多くのご参加を期待しております。

平成20年5月吉日

発起人

青木慎也(筑波大学)、石川正(高エネルギー加速器研究機構)、宇川彰(筑波大学、発起人代表)、梅村雅之(筑波大学)、延与佳子(京都大学)、大川正典(広島大学)、大塚孝治(東京大学)、大野木哲也(京都大学)、梶野敏貴(国立天文台)、鈴木英之(東京理科大学)、中務孝(理化学研究所)、橋本省二(高エネルギー加速器研究機構)、初田哲男(東京大学)、保坂淳(大阪大学)、牧野淳一郎(国立天文台)、吉江友照(筑波大学)